
農薬を使うとトマトの受粉率が下がる?実がならない?
トマトの受粉をしてくれる虫たちとは?
トマトの受粉率を下げないように害虫対策をするには?
こんなトマトの受粉と農薬の使用の関係についてご紹介いたします。
農薬を使うとトマトの受粉率が下がる?実がならない?
トマト栽培において、農薬は害虫や病気を抑えるために欠かせない手段です。
しかし、農薬の種類や使い方によっては、トマトの受粉率や実の付き方に悪影響を及ぼすことがあります。
特に受粉を助ける昆虫に影響を与える農薬は注意が必要です。
ここでは、農薬がトマトの受粉や結実にどのような影響を与えるのか、詳しく説明します。
農薬が受粉に与える影響
多くの農薬、特に殺虫剤はトマトの花粉を運ぶ昆虫に害を及ぼす可能性があります。
例えば、ネオニコチノイド系や有機リン系の農薬は、ミツバチやマルハナバチの行動を阻害します。
これらの昆虫は、花粉を花から花へと運ぶことで受粉を助けますが、農薬により活動が鈍ったり、死んでしまったりすると、受粉の機会が減ってしまいます。
研究では、ネオニコチノイド系農薬を使ったトマト畑で、ミツバチの訪問頻度が低下し、受粉率が10~20%減少した例が報告されています。
花粉そのものへの影響
農薬は、花粉そのものの質にも影響を与えることがあります。
トマトの花に農薬が直接付着すると花粉の発芽能力が低下することがあります。
特に開花期に散布された農薬は、花粉の表面に残留し、雌しべに付着する能力を弱めることがあります。
その結果、受粉が成功しても実が形成されない、あるいは形の悪い果実が増えることがあります。
さらに農薬の成分が花の構造を微妙に変化させ、送粉者が訪れにくくなる場合もあります。
散布のタイミングと影響
農薬を散布するタイミングも受粉率に大きく影響します。
トマトの開花期に農薬を使うと送粉者が花を訪れる前に影響を受けてしまいます。
例えば、昼間に散布するとミツバチやマルハナバチが活動する時間帯と重なり、被害が大きくなります。
また、農薬の種類によっては、散布後に長期間残留するものがあり、開花が続く期間中に送粉者に影響を与え続けます。
そのため、開花期を避けた散布スケジュールを組むことが重要です。
土壌や環境への間接的な影響
農薬は土壌や周辺の環境にも影響を与えます。
例えば、農薬が土壌に蓄積すると送粉者のエサとなる他の植物に影響を及ぼし、昆虫の生息数を減らすことがあります。
トマト畑の周囲に生える雑草や花が減ると送粉者がトマト畑を訪れる頻度が下がります。
また、農薬が水源に流れ込むと昆虫の生息環境が悪化し、長期的に受粉率に影響を与える可能性があります。
有機栽培との比較
有機栽培では、化学合成農薬の使用を避けるため、受粉率への影響が少ない傾向があります。
例えば、有機農法を取り入れたトマト畑では、送粉者の活動が活発で、結実率が安定していることが多いです。
一方、従来の農薬を使った栽培では、収穫量が安定する一方で、受粉不足による実の付きのムラが問題になることがあります。
この違いは、農薬の使用量や種類に大きく左右されます。
農薬使用の注意点
農薬を使う際は、送粉者に影響の少ないものを選ぶことが大切です。
例えば、天然成分由来の農薬や短期間で分解するタイプの農薬は、影響を抑えやすいです。
また、農薬の散布量を必要最小限に抑え、トマトの生育ステージに合わせた管理を心がけることも効果的です。
受粉率を保ちながら害虫を管理するには、農薬以外の方法も組み合わせることが重要です。
トマトの受粉をしてくれる虫たちとは?
トマトの受粉は、特定の昆虫が花粉を運ぶことで大きく助けられています。
これらの送粉者は、トマトの花から花へと花粉を運び、果実が実るのを支えます。
トマトは風や振動による自家受粉も可能ですが、昆虫による受粉は実の付きを良くし、品質を高めます。
ここでは、トマトの受粉を担う主な昆虫たちとその役割について詳しくお話しします。
マルハナバチの重要性
トマトの受粉で最も活躍するのがマルハナバチです。
マルハナバチは、トマトの花に特有の振動を与える「バズ・ポリネーション」という行動で知られています。
この振動は、トマトの花の葯から花粉を効率的に振り落とします。
マルハナバチが花に止まり、翅を高速で動かすと花粉が飛び出し、雌しべに付着しやすくなります。
この仕組みにより、マルハナバチはトマトの受粉において非常に効率的です。
ミツバチの役割
ミツバチもトマトの受粉に貢献しますが、マルハナバチほど効果的ではありません。
トマトの花は蜜が少ないため、ミツバチが積極的に訪れることは少ないです。
しかし、近くに蜜を多く含む花があれば、ミツバチがトマトの花にも立ち寄ることがあります。
その際、ミツバチの体に付いた花粉がトマトの雌しべに運ばれることがあります。
ミツバチはマルハナバチに比べ振動を与える力が弱いため、受粉の成功率は低めです。
ホバーフライの貢献
ホバーフライ(ハナアブ)もトマトの受粉を助ける昆虫の一つです。
ホバーフライは、空中でホバリングしながら花を訪れる小さな昆虫です。
トマトの花に蜜が少ないため、ホバーフライの訪問頻度は高くありませんが、花粉を運ぶ役割を果たします。
特にトマト畑の周囲に他の花が豊富にある場合、ホバーフライがトマトの花にも立ち寄りやすくなります。
その小さな体で花粉を運ぶ姿は、意外にも重要な役割を担っています。
小型ハナバチの存在
小型のハナバチ、例えばアシナガバチやヒメハナバチもトマトの受粉に関わることがあります。
これらのハナバチは、体のサイズが小さい分、トマトの小さな花にアクセスしやすいです。
地域によっては、マルハナバチやミツバチよりも小型ハナバチが主な送粉者となる場合もあります。
ただし、これらのハナバチは環境変化に敏感で、生息地が限られることがあります。
送粉者の多様性が鍵
トマトの受粉を成功させるには、さまざまな送粉者の存在が重要です。
マルハナバチが主役であってもミツバチやホバーフライ、小型ハナバチが補完的に働くと受粉の安定性が上がります。
特に自然環境が豊かな場所では、複数の送粉者が協力し合ってトマトの実付きを支えます。
トマト畑の周囲に野草や花を植えることで、これらの昆虫を引き寄せ、受粉を促すことができます。
送粉者の生態を守る
これらの昆虫は、気温や湿度、天候に影響されやすいです。
例えば、マルハナバチは涼しい朝や夕方に活動が活発で、暑い日中は動きが鈍ります。
また、ホバーフライは風の強い日には花を訪れにくいです。
トマト栽培では、こうした送粉者の生態を理解し、活動しやすい環境を整えることが大切です。
例えば、畑の近くに水場を設けたり、風よけになる木を残したりする工夫が効果的です。
トマトの受粉率を下げないように害虫対策をするには?
トマト栽培では、害虫を抑えることが欠かせませんが、受粉を助ける昆虫を守ることも同じくらい大切です。
農薬を使うとミツバチやマルハナバチなどの送粉者に影響を与え、受粉率が下がることがあります。
そこで、送粉者を守りながら害虫を管理する方法を工夫する必要があります。
ここでは、トマトの受粉率を維持しつつ、効果的に害虫対策を行う方法を詳しくお話しします。
農薬の選び方と使い方の工夫
農薬を使う場合、送粉者に影響の少ないものを選ぶことが重要です。
例えば、天然成分由来のピレトリンやスピノサドは、比較的早く分解され、昆虫への影響が短期間で済みます。
散布する時間帯も大切で、送粉者が活動しない夕方や早朝に農薬を使うと、直接的な被害を減らせます。
また、農薬の量を最小限に抑え、必要な部分だけにピンポイントで散布するのも効果的です。
スプレーではなく、点滴式で土壌に施す方法も送粉者への影響を抑える一つの手です。
物理的な防除方法
農薬に頼らず、物理的な方法で害虫を抑えるのも良い選択です。
粘着トラップは、アブラムシやコナジラミなどの小さな害虫を捕まえるのに役立ちます。
黄色や青色のトラップをトマトの株の近くに設置すると送粉者に影響を与えずに害虫を減らせます。
また、トマトの株元にマルチシートを敷くことで、土壌から出てくる害虫を防ぐことができます。
特に黒や銀色のマルチシートは、害虫の飛来を抑える効果が期待できます。
ネットやカバーを活用する
トマトの株を細かいネットや防虫カバーで覆うのも害虫対策に有効です。
目が細かいネットを使えば、ヨトウムシやハマキムシなどの大型の害虫を物理的に遮断できます。
ただし、送粉者が花にアクセスできるように開花期にはネットを一部開けるか、送粉者が通れる程度の目の粗いネットを選ぶ必要があります。
この方法は、農薬の使用量を減らしつつ、害虫からトマトを守るのに役立ちます。
天敵を利用した生物的防除
害虫を自然に抑えるには、天敵を活用する生物的防除がおすすめです。
例えば、テントウムシはアブラムシを食べるので、トマト畑に放すと害虫を減らせます。
クサカゲロウも、ハダニやコナジラミを捕食するので、自然な防除に役立ちます。
これらの天敵は、送粉者にはほとんど影響を与えず、害虫だけをターゲットにします。
天敵を呼び込むには、畑の近くに彼らが好む植物、例えばセリ科の植物やコリアンダーを植えると効果的です。
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トマトの近くにマリーゴールドを植えるとその強い香りがアブラムシやネマトーデを遠ざけます。
バジルも害虫を寄せ付けにくい植物として知られ、トマトとの相性が良いです。
これらの植物は、送粉者を引き寄せる効果もあるので、受粉率の向上にもつながります。
ただし、コンパニオンプランツがトマトと栄養を奪い合わないように適度な間隔で植えることが大切です。
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送粉者が活動しやすい環境を整えることも間接的に害虫対策につながります。
トマト畑の周囲にクローバーやタンポポなどの野草を残しておくと送粉者が集まりやすくなります。
その結果、受粉率が安定し、トマトの実付きが良くなります。
また、畑の周りに生け垣や低木を植えると害虫を食べる鳥や昆虫が住みつき、自然な防除効果が期待できます。
水やりや土壌管理を丁寧に行い、トマトの健康を保つことも害虫に対する抵抗力を高めるポイントです。
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